起業
6月、ただのサラリーマンを7年間続けた私が、ようやく法人登記を完了した。
一つの区切りなので、これまでの紆余曲折を記録しておく。
大学時代
大学時代は、周りはみんな推薦や就活で大手企業に就職することが多かった。
でも、理系で自分の深堀りした研究テーマがある友達はまだしも、遊んでばかりの文系だった自分には企業に入っても何も武器はなく、このまま就職してもだめでは、という思いが強かった。
いま思えば、大学時代は遊ぶことに集中しすぎて将来に向けたことを何もしていなかったと痛感する。
そこで、休学という強制的モラトリアム措置をとったとき、ちょうどAndroidスマートフォンがリリースされ始めた。
試しに独学でAndroidアプリを作って、Androidスマホをさわっているうちに、これは面白い!と思ってプログラミングをひたすら勉強した。
そしてアルバイトとして、今では上場している企業でバイトプログラマとして働いた。時給は都心の飲食店と同じくらいだが、経験値が積めそうだという判断で開始した。
実際、ここでの体験は今でも自分の人生に影響を与えるような大きな経験になった。
ちなみに、このとき働かせてもらったベンチャー企業の人たちからは「今すぐ起業!」というアドバイスが圧倒的に多かった。
その理由としても、早く失敗できる、経験値を積める、など理解しやすいものであった。
とはいえ、自分はその道を選ばなかった。(めちゃくちゃ悩んだけど)
理由は以下の通り。
- お金の知識がなさすぎた。VCと話していても交渉というよりはご教授、という感じ。まるで対等な関係、交渉ができる気がしなかった
- 「努力をすることは奨励されるが、それと同じくらい努力する方向を考えることが大事」と友達が言っていて、その言葉への納得感が強かった。努力することだけが大事だったら大学生で起業して就職しないで強制的に起業して失敗に揉まれながら成長すればよかったけど、努力の方向を真剣に考え抜くことも同じくらい大事だと思った。そして失敗なら何でも経験値になるわけではなく、自分が考え抜いて挑戦して初めて経験値となると思った(失敗の振り返りが「ちょっと考えればわかるだろ自分」では浅すぎる・・・)
- 子供が早く欲しかった。たぶん学生起業していたら育休もないし、有給もないので、育児環境は会社員のほうが良いと思った。
- 周りは資金調達をして赤字ベンチャーでもバイアウトを決めるなどウハウハな感じだった。だけど、自分はワタミの社長みたいに自分でバイトなりなんなり金をためて、ストレスと自分の金をためて商売を始めたいという強い思いがあった。
会社員時代
実は会社員時代、上場企業に入社できたことと、芸能界というちょっとキラキラしていそうな業界だったことから瞬間的に昇進も良いかな、と思った気持ちも正直あった。
大企業で昇進してそれなりに責任のある仕事をするというのも面白いと思った。
ただ、自分が入社した会社は「いかに飲み会の参加率を高くするか?」がすべてだったので馬鹿らしくなってしまった。
実は、評価制度とか給与が恵まれた会社に入社していたら起業の道を選ばなかったかもしれない。そうゆう会社に入ったことが無いのでわからないけどw
会社員は自分でコントロールできる要素が少なすぎる、とある人が本に書いていたがまさにそのとおりだと痛感した。
そして、パワハラというかイジメみたいな被害にもあった。
結局それが原因で当時の上司たちは左遷されていなくなったのだけど、当時はその上司たちも会社では認められていて彼らの負の部分を知っている人間は少なかったので辛かった。本当に辛かった。
失敗はたくさんしたほうが良いとか、つらい思いをしたほうが良い、というアドバイスも存在するが、自分はこのつらい時期に本当に自分が壊れる寸前まで追い詰められていたことから、つらい思いなんてしなくて済むならそのほうが良い、という価値観になった。
人間、再起不能になるキッカケなんていつ訪れるかわからない。
もちろん乗り越えられるくらいの困難なら結果的には「強くなれた」「成長できた」で良いのだけど、再起不能になったらどうするの?という感じ。
このときは本当に自分もギリギリで、せっかく妻と旅行に行っていたのに心配されるくらいに顔色に辛さが出ていたことは忘れられない。
この時から「致命傷を負わないように戦うぞ」というやり方を心に刻んだ。
だから、大家という職業に憧れたけど億円の借金引いてでかい物件で一発引退狙うよりも、現金で安いボロ物件を買って最悪泣けば済む戦い方に徹した。
そしてそのやり方で、特にスキルもなかったので下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるやり方でとにかく副業として事業を思いつく限りチャレンジした。
副業
副業としてやったことは数え切れない。
電子書籍出版、転売、輸入販売、アフィリエイトブログ、2chまとめブログ、アプリ開発、ウェブサービス開発、大家、ネット通販、多肉植物販売、盆栽、株式投資、FX…
それぞれについて話せば長くなるので割愛するが、結局、今も「致命傷を負わないように挑戦できる」「それなりに儲かる」「そこまで時間をかけなくてもできる」という点でネット通販、大家が残った。
そして大家業を拡大し、かつ自分の住む家を購入するときのために不動産業者になろうと決めた。
それに自分が大家をやってきて、不動産業界には不満がたまりまくっていた。
そうして自分の不動産会社を設立した。
なんで自己資金100%なのか
書くとダラダラ長くなりそうなので箇条書きで行く
- VCから調達すると口を出されるのが嫌だった
- 調達にかかる時間がもったいないと感じた(もちろんこれが役に立った人もいると思うが)
- 金だけではなく、ストレスもためる必要があると思った。怒りは原動力の一つだ。「会社員なんかやってられるか!」という気持ちでためた金への執着心みたいなものも欲しかった
- ワタミの社長が引っ越し会社でバイトしながらためた金で起業した、という話。そして孫氏が「攻めるときはためにためた力を一気に開放すべし」的なことを書いてた気がした。(記憶曖昧w)
- 今はVCから調達しやすい環境が整っているがそれはひねくれた見方をすれば「半端な覚悟でもスタートできてしまう」ということ
- 「どうせ失敗する」という前提に立つと人の金でスタートすると切羽詰まるのは目に見えている。自分も金で現金100%で借り入れもなければ最悪失敗しても自分が泣けば済むし失敗一撃で死なない。
- それでも赤字ながらVCから調達しながらユーザー数拡大してイケイケベンチャーになって上場してる人とか見ると「自分はこんなに遅い歩みでよいのか?」という葛藤はあった
- ただ、自分のやり方は曲げないほうが良いと思った。
- むしろ成功するなら株式を誰かに渡したくなかった(将来価値が上がると自分が信じているものを現金と引換に手放すなんて、という感じ)
決してVCから調達することを批判するわけではないし、むしろ明確なビジョンとともにそうして拡大して上場していった人たちを見て「すごいなあ」と思うばかりなので。。。
自分はこんなウスノロなスタートの方法を選んで良かったのか、とは迷うこともあるけど、10年くらい悩んで未だにやはりこのやり方が自分には合ってると思って落ち着いている
まとまりは無いけど、一旦振り返りとしてはこんなところで記録しておくか。